一言で女性医師と言っても、各人の置かれている環境、興味や専門性により様々な働き方があります。男女共同参画の観点からは、女性医師を特別視するのはおかしい、という考え方も世の中にありますが、主に出産・育児・介護などのライフイベントにより男性医師のキャリアが数か月以上に渡り中断されることはほとんど無いのに対し、女性医師の多くがキャリアの中断を経験し、復帰に困難を感じていることは事実です。
日本医科大学小児科では女医会を設置しております。女性医師同士がネットワークを構築し、女性医局員からの相談を受け付けることにより、女性医師のキャリアアップ促進をめざしています。また、2年に1回総会を開催し、気兼ねない交流の場としています。
入局をお考えの先生方で、女性医師としてのキャリア形成などについて相談をご希望の方は、遠慮無く医局までご連絡下さい。
田嶋 華子(平成15年卒業)
内分泌代謝疾患、先天代謝異常症および遺伝性疾患を担当し、日々の診療では、保護者の皆様とともに、来院するこどもたちに寄り添いながら成長を見守っています。
また、産後は仕事と子育てとのバランスを模索しています。妊娠・出産・育児は、ともすると医師としての小休止期間と思われがちですが、実際に経験してみると休止ではなく、「子育て」を学ぶ研修期間のようだと感じています。小児科医は小児疾患の専門ではありますが、子育てについては知らないことも多く、例えば離乳食が進まない時の工夫や赤ちゃんと入浴する時の工夫など、それまで気にしたことのなかった場面に直面し、試行錯誤しました。それらの経験が現在では、日々の診療で役立っています。
理想とするワーク・ライフバランスは、個々人により大きく異なります。子育てしながら仕事を続けるか、子育てをメインにする時期をもちたいか。仕事を続けるとしたらフルタイムか、短時間勤務を希望するか。自宅近くで託児が可能か、病院の保育園を利用するか。大学病院でも様々な働き方ができるようになってきましたし、一定期間、関連病院で勤務するという選択肢もあります。私たちの医局は、育児中の各医局員の諸事情と希望をもとに、その時点における最善策を一緒になって考えます。経験者である先輩女性医師はたくさんいますし、子育てに積極的に関わっている男性医師も多いです。
小児科医の5割近くが女性である昨今、女性の入局者数は、我々の医局でも増加傾向にあります。子育て世代の女性医師の「(他の医師に)一方的に負担をかけて申し訳ない」という思いも、女性医師の増加や時代とともに「(医師どうしで)お互い補い合おう!」という風潮になってきました。
小児科を志すみなさん、このような職場でぜひ一緒に働きませんか。
峯 牧子(平成13年卒業)
日本医科大学武蔵小杉病院新生児科に勤務しています。NICUに入院となる赤ちゃんは早産、低出生体重児がメインになりますが、それ以外にも先天性心疾患や外科疾患など小児科だけでなく小児循環器外科、小児外科と連携を取って幅広い疾患の患者さんの診療にあたっています。またNICUを退院した患者さんのフォローアップも新生児科が担当していますので、日々こどもたちが成長していく姿に触れられるのは大きな喜びでもあります。
女性医師と言っても、仕事と子育てのバランスなど生活のどこに重点を置くかは人それぞれ、またその時々の状況によって異なります。私は二児の母ですが、こどもが乳児期のうちは子育てに集中したいと考え、産休・育休をフルに取得しました。その後は医局と相談させていただきながら、外来中心の関連病院から仕事復帰して、現在の大学病院NICU勤務に至ります。日本医科大学には女性医師支援枠という勤務体制があり、現在はそれを利用して時短勤務をしていますが、それでも子育てには緊急事態がつきもので、急な発熱による保育園からの呼び出しなど思うように仕事ができないことは多々あります。しかし理解ある上司や同僚の先生方に支えられ、臨床の現場で働き続けることができています。また産休・育休期間はブランクになるとマイナスに考えられがちですが、小児科・新生児科にとっては子育ての経験値が上がる分、同じ母親として共感を持ってアドバイスできることが増え、日々の診療の糧となっています。
今は男性、女性を問わず、仕事に育児に積極的に関わっていく時代です。未来を担うこどもたちの輝かしい笑顔があふれる職場で、一緒に楽しく働きましょう。